スーパーゼネコン5社の違い|年収・戦略・将来性を徹底比較

「スーパーゼネコンへの転職を考えているが、5社の具体的な違いがわからない」

「各社の強みや年収、将来性を比較して、自分に合う企業を見つけたい」

そんな想いを持つあなたへ。この記事では、日本の建設業界の頂点に立つスーパーゼネコン5社(鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設、竹中工務店)について、最新の公表データに基づき徹底的に比較分析します。業績や年収といった定量的なデータから、各社の戦略、DX・宇宙開発といった将来性、さらには「2024年問題」への対応まで、キャリア選択に必要な情報を網羅します。

スーパーゼネコンとは?(定義と5社の紹介)

「スーパーゼネコン」という用語は法的な定義ではありませんが、一般的にゼネコン(総合建設業者)の中で、特に企業規模が大きい上位5社を指す通称です。具体的には、鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設、竹中工務店の5社がこれに該当します。

目安としては「(単体)年間売上高(完成工事高)が1兆円を超えること」がしばしば用いられます。彼らの事業は単なる建設請負に留まらず、「建築事業」「土木事業」に加え、自社で土地開発から運営まで手掛ける「開発事業(デベロッパー機能)」の3つを大きな柱としています。

スーパーゼネコン5社
  • 鹿島建設(かじまけんせつ)
  • 大林組(おおばやしぐみ)
  • 大成建設(たいせいけんせつ)
  • 清水建設(しみずけんせつ)
  • 竹中工務店(たけなかこうむてん) ※非上場

【業績・年収】スーパーゼネコン5社 徹底比較ランキング

各社の経営体力と従業員待遇を、最新のIR情報(有価証券報告書など)に基づき定量的に比較します。

業績(連結売上高・営業利益)の比較

各社の最新の連結財務データからは、業績の明暗が読み取れます。資材価格の高騰や人件費の上昇といった業界共通の課題に対し、各社のプロジェクト管理能力や事業ポートフォリオの違いが影響している可能性が示唆されます。

(注:竹中工務店は非上場であり、他社と決算期が異なるため単純比較には留意が必要です。また、下記は各社の公表データに基づく最新情報の一部であり、決算期によって順位は変動します。)

会社名 決算期 連結売上高 連結営業利益 備考(出典に基づく分析)
大林組 2025年3月期 2兆6,201億円 1,434億円 好調な利益を計上(2025年3月期 第1四半期決算短信)
清水建設 2024年3月期 2兆55億円 連結経常損失を計上(2024年3月期 決算短信)
鹿島建設 デジタル投資の増額等を計画(中期経営計画)
竹中工務店 2020年12月期 1兆2,377億円 397億円 非上場(有価証券報告書 2020年12月期)
大成建設 (IRライブラリ参照)

従業員データ(平均年収・勤続年数)の比較

転職希望者が最も注目する「年収」を、有価証券報告書(単体)に基づき比較します。

データに関する注意点
下記の平均年間給与は、各社の有価証券報告書(単体)に基づき記載された参考値です。賞与の比率が高いため、会社の業績によって変動します。また、平均年齢・勤続年数も高水準であり、これは従業員の定着率が比較的高い可能性を示唆しています。

会社名 平均年間給与(単体) 平均年齢(単体) 平均勤続年数(単体) 出典(基準日)
鹿島建設 約1,177万円 43.7歳 17.9年 2024年3月期 有報 (2024/3/31)
大林組 約1,080万円 43.1歳 16.9年 2025年3月期 第1四半期報告書 (2024/6/30) ※注
清水建設 約982万円 43.6歳 15.9年 2024年3月期 有報 (2024/3/31)

(※注:大林組の平均年間給与は2024年3月31日時点のデータを参照。竹中工務店(非上場)、大成建設については参照資料内に同データなし)

3社の比較では、平均年間給与と勤続年数の間に相関が見られます。清水建設の平均給与が他2社比で低い水準にあるのは、前述の2024年3月期の業績が賞与などに影響している可能性が考えられます。

【戦略の違い】各社の強みと事業領域を定性比較

「スーパーゼネコンの違い」を理解する上で最も重要なのが、各社が注力する戦略の違いです。

鹿島建設:技術とエンジニアリング(自動化・DX)

「技術の鹿島」として知られ、生産施設(工場)などで企画から運用・保守まで一貫して手掛けるエンジニアリング能力に強みを持ちます。特に「独自の自動化技術」を推進しており、AI技術の適用拡大や自動化施工による生産性向上(内向きのDX)に多額のデジタル投資を行っています。

大林組:事業の多角化と新領域(再エネ・宇宙)

建設事業に加え、新領域への多角化(外向きの多角化)で先行しています。「再生可能エネルギー」分野(太陽光、風力、地熱、グリーン水素など)で豊富な実績を持つほか、「データセンター」や「スマートシティ」、さらには「宇宙開発」(月面での地下水技術)にも積極的に取り組んでいます。

大成建設:大規模インフラとレジリエンス

熊本地震からの復旧事業である「新阿蘇大橋」(橋脚最大高さ97m)の施工に象徴されるように、国土強靭化に資する大規模インフラ、特に高度な土木技術(中核的土木)に強みを持つと推察されます。

清水建設:財務・組織課題への対応

2024年3月期に連結経常損失を計上しており、財務的課題への対応が急務となっている状況が公表データから伺えます。また、一部の転職系口コミサイトでは、社員満足度に関する課題が指摘されているケースも見られます。

竹中工務店:設計・DXと高度専門技術(非上場)

5社で唯一の非上場企業です。「通天閣」の免震化や「吹田スタジアム」の屋根免震構造など、高度な設計力と専門技術を要する象徴的な建築物で高い技術力を発揮しています。BIMデータを中核に据えた「建設デジタルプラットフォーム」(デジタルツイン)の構築を推進するなど、データ活用と高度設計を追求しています。

竹中工務店(非上場)の強み
上場企業が株主からの短期的な利益要求に応える必要があるのに対し、非上場である竹中工務店は、長期的な競争力の源泉となる研究開発(例:デジタルプラットフォーム構築)に、持続的に投資しやすい企業体質であると推察されます。「業績・財務ともに盤石」という外部評価も、この経営の安定性を示している可能性があります。

【将来性】業界トレンド(DX・宇宙開発)と各社の動向

スーパーゼネコン各社は、業界の最先端トレンドを牽引しています。

トレンド(1): DX (BIM/CIM) とデジタルツイン

建設業界のDXは、BIM(建築)/CIM(土木)と呼ばれる3次元モデルの活用が中心です。しかし、真のDXとは、BIMモデルにリアルタイムデータを統合して「デジタルツイン」(サイバー空間上の双子)を構築し、AI分析などを通じて「建設後の社会的価値の最大化」を目指すこととされています。この点で、竹中工務店の「建設デジタルプラットフォーム」は、業界の最先端を行く取り組みの一つと言えます。

トレンド(2): 新領域(宇宙開発)

各社は「宇宙」も次なる事業フロンティアとして捉えています。これは単なる夢物語ではなく、月面の砂を利用した建設材料の製造技術や、現地で展開する居住モジュール、宇宙農場システムなどの研究開発が進められています。大林組は宇宙ビジネスコンテストで受賞するなど、具体的な実績も上げています。宇宙という極限環境を想定した先端技術(完全自動化施工など)は、最終的に地球上の建設技術の革新に貢献(フィードバック)することが期待されています。

【課題・リスク】2024年問題と各社の対応

業界全体が直面する最大の経営課題が「2024年問題」です。

最大のリスク「2024年問題」とは?

2024年4月から、建設業にも「時間外労働の上限規制(原則として年720時間以内)」が適用されました。長時間労働が常態化していた建設業界にとって、労働力不足による工期の遅延や労務コストの増大に直結する深刻なリスクです。

リスクがDX(技術革新)を加速させる

この法規制(2024年問題)は、各社に「働き方改革」を強制する最大の外的圧力となっています。従来の労働力に依存する工法が限界を迎えた今、唯一の解決策が「ICT化による生産性向上」です。

結果として、この法的なリスクは、皮肉にも鹿島建設のAI・自動化投資や竹中工務店のデジタルツインといった、技術革新(トレンド)を加速させる最大のドライバー(機会)として機能しています。各社とも、DX推進による生産性向上が待ったなしの状況となっています。

スーパーゼネコンの「社風」はどう違う?

「社風」は、企業の経営状態や戦略を反映した結果として現れる側面があります。

第三者評価・口コミに見る実態

客観的なデータや第三者評価に基づいて分析します。

  • 竹中工務店
    転職情報サイトなどでは、「業績・財務ともに盤石。安心して働ける」と評されることがあります。非上場企業としての経営の安定性が、社員の安心感につながっている可能性が伺えます。
  • 清水建設
    一部の転職・口コミサイトでは、社員満足度に関する課題が指摘されることがあります。Section2で確認した財務状況(2024年3月期の経常損失)が、現場の負担増や賞与、将来不安に影響し、満足度の低下に繋がっているという仮説も立てられます。

「社風」の評価方法
転職希望者が「社風」を評価する際には、表面的な口コミだけでなく、その背景にある「財務的安定性」(業績)、「戦略の明確さ」(強み)、そして「労働環境改善への具体的な投資」(2024年問題への対応)といった客観的な事実をあわせて分析することが極めて重要です。

よくある質問(FAQ)

Q1:スーパーゼネコン5社の具体的な社名を教えてください。

A:鹿島建設(かじまけんせつ)、大林組(おおばやしぐみ)、大成建設(たいせいけんせつ)、清水建設(しみずけんせつ)、竹中工務店(たけなかこうむてん)の5社です。

Q2:5社の年収ランキングはどうなっていますか?

A:有価証券報告書(単体)に基づく参考値では、鹿島建設(約1,177万円)、大林組(約1,080万円)、清水建設(約982万円)の順となっています(※2024年公表データ参考)。ただし、これらは業績(賞与)によって変動します。竹中工務店(非上場)と大成建設は、同形式の比較データがありません。

Q3:なぜ竹中工務店だけ非上場なのですか?

A:竹中工務店は創業以来、非上場を堅持しています。一般的に、非上場企業は株主からの短期的な利益圧力を受けにくいため、長期的な視点での経営や研究開発(例:同社のDX戦略)に注力しやすいというメリットがあると考えられています。

Q4:2024年問題とは何ですか?スーパーゼネコンへの影響は?

A:建設業における時間外労働の上限規制(2024年4月適用)のことです。労働力不足やコスト増大のリスクがありますが、スーパーゼネコン各社にとっては、AI・自動化・DXによる生産性向上(技術革新)を加速させる最大の要因ともなっています。

Q5:各社の「違い」を一番分かりやすく教えてください。

A:戦略の焦点が異なります。鹿島は「技術・自動化」、大林組は「新領域・多角化(再エネ、宇宙)」、大成は「大規模インフラ・土木」、竹中(非上場)は「設計・DX(デジタルツイン)」に、それぞれ強みや戦略的重点を置いていると分析できます。

まとめ:あなたに合うスーパーゼネコンの選び方

スーパーゼネコン5社は、売上高1兆円を超える巨大企業群ですが、その戦略、強み、企業体質は大きく異なります。「技術の鹿島」「多角化の大林」「インフラの大成」「設計の竹中」、そして現在課題対応中の「清水」といった特徴が見えてきます。

「2024年問題」という共通の課題に対し、各社がDXや自動化でどう立ち向かおうとしているか。その戦略の違いこそが、将来の働きやすさや企業の安定性につながります。転職を検討する際は、目先の年収だけでなく、各社が打ち出す未来への戦略に共感できるかどうかが、重要な判断基準となるでしょう。

スーパーゼネコンへのキャリアを考える「今すぐ始めるべき第一歩」
  1. 各社の「中期経営計画」を読む
    各社の公式サイトIR情報にある「中期経営計画」や「統合報告書」を読み比べましょう。年収データよりも雄弁に、各社が何を目指しているか(例:DX、再エネ、海外展開)がわかります。
  2. 自分の「軸」を決める
    自分が何を重視するかを明確にしましょう。「最先端の技術開発(鹿島、竹中)」「新領域への挑戦(大林)」「大規模インフラ(大成)」「安定性(竹中)」など、軸によって選ぶべき企業は変わります。
  3. 「2024年問題」への具体策を調べる
    各社が「働き方改革」や「生産性向上」のために、具体的にどのような技術投資や制度改革を行っているか(例:自動化施工、BIMの活用状況)を調べることは、将来の「働きやすさ」を予測する上で不可欠です。

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CIW Construction 編集部

執筆者:CIW Construction 編集部

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