【完全ガイド】建設業界のDX推進事例と導入ステップを徹底解説

建設業界は今、大きな変革の渦中にあります。国土交通省の調査によると、建設業就業者は477万人(2024年)まで減少し、2030年には400万人を下回ると予測されています。一方で建設投資額は2024年の73.2兆円から2026年には80.7兆円(予測)まで拡大する見通しです。限られた人材で増大する工事量をこなすには、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が不可欠です。本記事では、建設業界のDX推進の最新事例と、導入を成功させるためのステップを徹底解説します。

なぜ建設業界にDXが必要なのか

建設業界のDX推進が急務とされる背景には、複数の構造的課題があります。まず、深刻な人手不足です。業界全体で55歳以上が37%を占め、29歳以下はわずか12%と高齢化が顕著です。東京商工リサーチの調査では、8割超の建設会社が「正社員不足」と回答しています。

次に、2024年問題への対応があります。時間外労働の上限規制(月45時間・年360時間)が建設業にも適用され、違反した場合は6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。これまでの長時間労働に頼った働き方を維持できなくなった今、デジタル技術による生産性向上が唯一の解決策といえるのです。

さらに、2025年春闘では建設業の賃上げ率が5.46%に達しており、人件費上昇分を吸収するためにも業務効率化は経営課題として重要性を増しています。

建設DXの主要技術を整理する

建設DXと一口に言っても、さまざまな技術領域があります。ここでは代表的な技術を整理して解説します。

BIM/CIM(Building/Construction Information Modeling)

BIM/CIMは、建築物や構造物の3次元モデルに属性情報を付与し、設計・施工・維持管理の各段階で情報を一元管理する技術です。国土交通省は2023年度から原則すべての公共工事でBIM/CIMの適用を義務化し、建設業界全体への普及が加速しています。3次元モデルを活用することで、設計の手戻り削減施工シミュレーションによる工期短縮関係者間のコミュニケーション向上が実現できます。

ICT施工

ICT施工は、ドローン測量3DマシンコントロールGPSを活用した重機の自動制御などを組み合わせ、土工事の施工効率を飛躍的に向上させる技術です。国土交通省のi-Construction施策の柱として推進されており、従来の測量・丁張り作業を大幅に省力化できます。

クラウド型施工管理ツール

現場の写真管理、図面共有、工程管理、日報作成などをクラウド上で一元管理するツールの導入が急速に進んでいます。代表的なツールとしては、Photoruction、ANDPAD、SPIDERPLUS などがあり、紙ベースの業務を大幅に削減することが可能です。現場とオフィスの情報連携がリアルタイムで行われるため、意思決定のスピードも向上します。

建設DXの具体的な推進事例

ここでは、建設業界で実際にDX推進に成功している事例をご紹介します。

企業規模導入技術主な成果
大手ゼネコンBIM全面活用+AI配筋検査設計変更時の手戻りコスト30%削減
中堅建設会社クラウド施工管理+ドローン測量書類作成時間50%削減、測量工期70%短縮
中小建設会社タブレット+クラウド日報事務作業時間40%削減、リアルタイム情報共有
専門工事会社ウェアラブルカメラ+遠隔臨場移動コスト60%削減、監督効率向上

注目すべきは、DXは大手企業だけのものではないという点です。中小企業でもタブレット端末やクラウドツールの導入から始めることで、確実に生産性を向上させることが可能です。重要なのは、自社の課題に合った技術を選択し、段階的に導入していくアプローチです。

建設DX導入の5つのステップ

建設DXを成功させるためには、計画的な導入プロセスが不可欠です。以下の5ステップで進めることをお勧めします。

  • ステップ1:現状分析と課題の明確化 — 現場の業務フローを可視化し、ボトルネックとなっている作業を特定する
  • ステップ2:導入する技術の選定 — 費用対効果を考慮し、自社の規模と課題に最適なツールを選ぶ
  • ステップ3:パイロットプロジェクトの実施 — 1つの現場で試験導入し、効果測定と課題抽出を行う
  • ステップ4:社内教育と体制構築 — DX推進担当者を配置し、全社員へのデジタルリテラシー教育を実施する
  • ステップ5:全社展開と継続改善 — パイロットの成果をもとに全社に展開し、PDCAサイクルを回す

特に重要なのはステップ3のパイロットプロジェクトです。いきなり全社導入するのではなく、小規模な現場で効果を検証し、成功体験を社内に共有することで、現場からの抵抗感を軽減できます。

DX推進における課題と解決策

建設DXの推進にあたっては、いくつかの典型的な課題があります。

  • 現場のIT人材不足:建設業従事者の高齢化率が高く、デジタルツールに不慣れな作業員が多い。解決策として、直感的に操作できるツールの選定と、丁寧な研修プログラムの実施が有効です
  • 初期導入コスト:中小企業にとってBIMソフトやICT建機の導入費用は負担が大きい。国土交通省の補助金制度や、サブスクリプション型のクラウドサービスを活用しましょう
  • データ連携の標準化:異なるソフト間のデータ互換性が課題。業界標準フォーマット(IFCなど)に対応したツールを選ぶことが重要です
  • 経営層の理解不足:投資対効果が見えにくいため、経営判断が遅れがち。パイロットプロジェクトで具体的な数値成果を示すことが説得材料になります

DX人材のキャリアと市場価値

建設業界におけるDX人材の市場価値は急速に高まっています。施工管理の実務経験に加え、BIMの操作スキルデータ分析能力を持つ人材は、転職市場でも高い評価を受けています。建設業全体の平均年収が565.3万円(令和6年)である中、DX関連のスキルを保有する施工管理技士は600万〜800万円の年収帯を狙えるケースが増えています。

特にBIMマネージャーICT施工管理者DX推進責任者といったポジションの求人が増加しており、従来の施工管理技士のキャリアパスに新たな選択肢が加わりました。建設DXに関する知識やスキルを身につけることは、今後のキャリア形成において大きなアドバンテージとなるでしょう。

AI・ロボット技術の最新動向

建設DXの次なるフロンティアとして、AI(人工知能)建設ロボットの活用が注目されています。AIによる配筋検査の自動化工程遅延の予測安全管理の高度化(作業員の危険行動をAIカメラで検知)などが実用段階に入りつつあります。

また、鉄骨溶接ロボットや自律走行型の運搬ロボット、コンクリート打設ロボットなど、現場作業の自動化も進んでいます。これらの技術は人手不足の解消だけでなく、危険作業の削減による安全性向上にも寄与します。ただし、これらの技術を運用する高度な施工管理人材の需要は今後さらに高まるため、人間の仕事がなくなるわけではありません。

まとめ

建設業界のDX推進は、人手不足の深刻化と建設投資の拡大という二つのトレンドを背景に、もはや避けて通れない経営課題となっています。BIM/CIMの活用、ICT施工の導入、クラウドツールによる業務効率化を段階的に進めることで、中小企業でも確実に成果を上げることが可能です。DXスキルを持つ人材の市場価値は今後さらに高まります。CIW Constructionでは、DX推進に積極的な企業の求人情報も多数ご紹介しています。デジタル技術で建設業界の未来を切り拓きたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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CIW Construction 編集部

執筆者:CIW Construction 編集部

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