【2026年版】BIM/CIM導入で進化する設計・施工プロセス

図面を2次元の紙やCADデータでやり取りしてきた建設業界に、3次元モデルを軸にしたBIM/CIMの活用が広がっています。設計変更の反映や関係者間の合意形成が効率化され、施工段階での手戻りを減らす効果も期待されています。本記事では導入が進む背景から現場での変化、求められるスキルまでを整理します。

BIM/CIMとは何か

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)は建築分野、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)は土木分野で使われる呼び方で、いずれも3次元モデルに寸法だけでなく部材の仕様やコスト、工程といった属性情報を統合する仕組みです。従来の2次元図面がそれぞれ独立していたのに対し、BIM/CIMでは一つのモデルに情報が集約されるため、設計変更が起きた際にも関連する図面へ自動的に反映される点が大きな違いです。

モデルには構造・設備・意匠といった各専門分野の情報が重なり合う形で入るため、干渉チェックや数量拾いといった作業を早い段階で行えるようになります。紙の図面を見比べながら手作業で確認していた工程が大幅に省力化される点が、現場から支持を集めている理由です。

導入が進む背景

国土交通省による原則適用の方針

国土交通省は公共事業においてBIM/CIMの活用を段階的に広げる方針を示しており、直轄工事を中心に適用対象が拡大しています。発注者側の要件として位置づけられることで、元請けだけでなく協力会社にも3次元データを扱える体制が求められるようになりつつあります。出典: 国土交通省。

人手不足を背景にした省力化ニーズ

建設技能者数は2024年時点で303万人となり、ピーク時(464万人)の65.3%まで減少しています。出典: 総務省「労働力調査」(国土交通省作成)。限られた人員で工事を進めるためには、干渉チェックや数量拾いといった手作業を効率化する仕組みが欠かせず、BIM/CIMはi-Constructionが掲げるICT施工の中核技術として位置づけられています。

建設経済研究所の見通しでは、2026年度の建設投資額は80兆7,300億円(前年度比+5.3%)に達する見込みです。出典: 建設経済研究所「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2025年10月)。投資が拡大する局面ほど、限られた技術者で案件をこなすための効率化投資が優先されやすく、BIM/CIM対応を条件とする発注が増える土壌になっています。

年度建設投資額(推計)前年度比
2024年度73兆2,200億円基準年度
2025年度76兆6,700億円+4.7%
2026年度80兆7,300億円+5.3%

設計プロセスの変化

設計段階では、構造・設備・意匠の各担当者が同じモデル上で作業を進めることで、干渉箇所を早期に発見できるようになります。従来は施工段階になって初めて判明していた配管と梁の干渉なども、モデル上でのチェックによって設計段階で解消できる可能性が高まります。結果として、設計者には各分野の情報をモデルにどう反映させるかという調整力が新たに求められるようになりました。

省エネ計算やコスト算出といった作業もモデルと連動させやすくなり、設計変更が発生した際の再計算にかかる時間が短縮されます。設計の初期段階から精度の高い検討ができるようになった分、企画・提案段階での説明力が増したという声も現場から聞かれます。

施工プロセスの変化

施工段階では、3次元モデルをもとにした数量拾いや施工手順の事前シミュレーションが可能になり、現場での手戻りを減らす効果が期待されています。測量データや自動制御建機と連携させることで、設計モデルと実際の出来形をすり合わせながら工事を進める手法も広がりつつあります。

関係者間の打ち合わせでも、平面図と断面図を行き来しながら説明する従来のやり方に比べ、3次元モデルを画面上で回転させながら確認できる分、発注者や協力会社との合意形成が早くなる場面が増えています。特に複雑な形状の構造物では、モデルを見ながらの議論が誤解を防ぐ効果を発揮しています。

導入における課題

  • ソフトウェア・機材への投資負担: 3次元モデルを扱うには専用ソフトと相応の性能を持つ端末が必要で、中小の設計事務所や工事会社には負担が大きい場合があります。
  • 人材育成の遅れ: 2次元図面での経験が長い技術者ほど、3次元モデルへの移行に時間がかかる傾向があります。社内研修や外部講習の整備が追いついていない企業も少なくありません。
  • データ形式の標準化: 発注者や協力会社によって使用するソフトが異なると、データ変換の手間が発生します。業界全体での形式統一が今後の課題です。

こうした課題は一足飛びには解決しないため、まず一部のモデル工事で試験導入し、社内にノウハウを蓄積してから全社展開するという進め方が現実的とされています。

発注者側にも広がる活用の動き

これまでBIM/CIMは設計事務所や施工会社が主な担い手でしたが、近年は発注者側の技術部門でもモデルを確認・活用する動きが出てきています。維持管理の段階でも3次元モデルに蓄積された情報を参照できれば、竣工後の点検や改修計画の検討がしやすくなるためです。設計・施工・維持管理という一連の流れをひとつのモデルでつなぐという発想が徐々に定着しつつあります。

維持管理段階での活用が進めば、竣工時のデータをそのまま次の改修工事に引き継げるようになり、過去の工事記録を探す手間も減っていきます。長期的には、施設のライフサイクル全体を通じたデータ活用が標準になっていく可能性があります。

BIM/CIM人材に求められるスキルとキャリア戦略

BIM/CIMを扱える人材には、モデリングソフトの操作スキルに加えて、構造・設備といった他分野の知識を横断的に理解する力が求められます。単にソフトを操作できるだけでなく、モデルに込められた情報を設計・施工の判断にどう活かすかという視点が評価の分かれ目になります。

転職市場では、BIM/CIMの実務経験がある技術者への需要が着実に高まっています。設計事務所やゼネコンだけでなく、発注者側の技術部門でも3次元データを扱える人材を求める動きが出ており、経験を積んだ技術者には複数の選択肢が開けやすい状況です。

実務未経験でも、CADの操作経験や3次元モデリングの基礎を持っていれば、研修制度が整った企業でBIM/CIMのスキルを積み上げていくキャリアパスも現実的です。求人選びの際は、導入済みのソフトや教育体制まで確認しておくと、入社後の成長スピードに差が出ます。CIW Constructionでは無料相談を通じて、BIM/CIM関連の経験を活かせる企業選びをサポートしています。求人の詳細は求人情報からご覧いただけます。

まとめ

BIM/CIMは公共工事での適用拡大と人手不足という2つの流れを背景に、設計・施工プロセスを着実に変えています。ソフト投資や人材育成といった課題は残るものの、3次元モデルを扱える技術者の市場価値は今後も高まっていくと見られます。関連する職種の解説はコラム一覧からも確認いただけます。

よくある質問

BIM/CIMとBIM、CIMの違いは何ですか?

BIMは建築分野、CIMは土木分野で使われてきた呼び方で、近年はまとめてBIM/CIMと呼ばれています。仕組みとしては同じ3次元モデル活用の考え方です。

未経験からBIM/CIM人材を目指せますか?

CADの操作経験があれば土台になります。研修制度が整った企業を選べば、実務を通じてBIM/CIMのスキルを積み上げていくことが可能です。

BIM/CIMの経験は転職で評価されますか?

公共工事での適用拡大に伴い、実務経験のある技術者への需要は高まっています。設計・施工管理いずれの職種でも評価要素になりやすい傾向です。

BIM/CIM導入企業を選ぶ際のポイントはありますか?

使用しているソフトの種類や社内の教育体制を確認すると、入社後にスキルを伸ばしやすいかどうかの判断材料になります。

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CIW Construction 編集部

執筆者:CIW Construction 編集部

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