【完全ガイド】電気設備設計の仕事内容・必要資格・キャリアパス

建物に必要な照明・動力・弱電・防災などの電気設備を計画・設計する電気設備設計は、建設・不動産業界において安定した需要を持つ専門職です。ZEH・ZEB対応や省エネ基準の強化を背景に設計技術者への期待が高まっており、必要な資格・スキル、年収相場、キャリアパスをまとめて整理します。

電気設備設計とは何か

電気設備設計は、オフィスビル・マンション・工場・病院・商業施設など、あらゆる建物の電気システムを計画・設計する業務です。照明設備・コンセント・幹線・受変電設備・通信設備・防災(自動火災報知設備)・セキュリティシステムまで、建物の見えないインフラ全体を担います。成果物は電気設備図面であり、建築設計チームや機械設備設計チームと調整しながら建物全体の設計をとりまとめる役割があります。

就職先は建設コンサルタント・設計事務所・ゼネコンの設計部門・設備会社の設計部門と幅広く、企業の規模や案件の種類によって業務の内容も変わります。電力会社の送配電ラインを扱う電力系とは区別され、あくまで建物内の内線設備・受変電設備・通信弱電・防災電気設備を設計する職種として位置づけられます。建築・機械・土木の各設計と連携しながら進める業務であるため、専門知識と調整力の両方が求められます。

主な仕事内容と業務の流れ

電気設備設計の業務は設計段階から竣工後まで続きます。プロジェクトの流れに沿って整理すると次のとおりです。

  • 基本設計: 建物の規模・用途に合わせた受変電方式・幹線ルート・主要機器の選定と概略設計
  • 実施設計: 各室の照明計算・コンセント計画・自動火災報知設備の配線計画・省エネ計算・図面作成
  • 施工段階: 設計図の解説・施工会社への設計内容の説明・現場からの設計変更対応
  • 竣工後: 竣工図のとりまとめ・設備の動作確認・施主への引き渡し書類の作成

近年はBIMツールを用いた3次元設計が広がっており、2次元CAD図面作成だけでなく、BIM設計ソフトで電気設備を3次元で設計する経験が求められる場面が増えています。国土交通省はBIM/CIMの活用を推進しており、大型プロジェクトではBIMでの設計が標準化しつつあります。

設備間の調整が業務の核心

電気設備設計で多くの時間を費やすのが、空調・衛生・建築の各チームとの整合確認です。設備シャフトのスペース配分・天井内の配線ルート・機器の重量と構造との関係など、他職種との調整を抜け漏れなく進める力が実務の核心をなします。大型建築では設計期間が1〜2年に及ぶことも多く、担当者が変わる中でも図面の整合を保ち続けるための記録・連絡・確認作業の積み重ねが大切です。設計事務所や建設コンサルタントで経験を積んだ技術者が転職市場で評価されるのは、こうした調整業務の実績が買われる側面が大きいです。

2025-2026年の市場動向

建設投資の見通しは2026年度に80兆7,300億円まで拡大すると予測されています(出典: 建設経済研究所「建設経済モデルによる建設投資の見通し」2025年10月)。政府投資は国土強靱化計画の実施により前年度比9.3%増の25兆8,100億円が見込まれており、工事量の増加に伴って設計技術者への需要も連動して高まっています。

建設業の就業者数は2024年で477万人と、1997年のピーク685万人から大幅に減少しており(出典: 総務省「労働力調査」)、55歳以上が全体の約37%を占めています。若手が育つ速度を上回るペースで経験者が引退しており、電気設備設計の分野でも設計経験のある中堅・ベテラン技術者への需要が続いています。東京商工リサーチの調査では8割を超える建設会社が正社員不足を訴えており(出典: 東京商工リサーチ)、採用難が続く中で設計者の処遇改善も進んでいます。

ZEH・ZEB普及促進策として省エネ基準の義務化が段階的に進んでおり、電気設備設計では太陽光発電・蓄電池・BEMS(ビル用エネルギー管理システム)など省エネ技術の知識が欠かせなくなっています。省エネ計算の経験を持つ設計者は特に市場価値が高く、この傾向は2026年以降も続く見通しです。2025年春闘での建設業の平均賃上げは5.46%と高水準で(出典: 厚生労働省)、技術者の処遇改善が加速しています。

年収相場と待遇

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和6年)によると、建設業全体の平均年収は565.3万円で、企業規模が大きくなるほど年収水準が上がる傾向にあります(出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)。電気設備設計は設計部門の専門職として施工管理系と同水準か、省エネやBIMなど高付加価値スキルを持つ技術者はそれ以上の年収が提示されるケースもあります。

企業規模建設業平均年収主な雇用先
10〜99人(中小)499.3万円設計事務所・中小建設コンサルタント
100〜999人(中堅)約550万円地域の中堅ゼネコン・設備会社
1,000人以上(大手)736.4万円大手ゼネコン・大手コンサルタント

年功序列型から実力・経験ベースの給与体系に移行する企業が増えており、BIMや省エネ計算のスキルを持つ設計者は年収交渉の余地が生まれやすい状況です。設計事務所での独立採算型の案件受注や業務委託という形で収入を上積みする技術者も増えています。

必要な資格・スキル

電気設備設計のキャリアを積む上で取得を検討したい資格と習得すべきスキルをまとめます。

  • 建築設備士: 建築設備全般(電気・空調・衛生)の設計と工事監理の助言ができる国家資格。設計事務所・コンサルタントで特に評価される。
  • 1・2級電気工事施工管理技士: 施工管理の法的資格だが、電気設備の知識体系を証明するものとして設計業務でも評価される場面がある。
  • 電気主任技術者(電験三種以上): 大型建築の受変電設備設計で特に有効。保安監督業務との組み合わせにも対応できる。
  • 技術士(電気電子部門): 建設コンサルタント業務での上位資格。独立・業務委託にも有利な資格として知られる。
  • 省エネ計算・BIMスキル: BEI(建築物エネルギー消費性能基準)計算や省エネシミュレーションの実務経験、BIM設計ソフトの操作スキルが転職の差別化要因になる。

法令面では建築基準法・消防法・電気事業法・内線規程の基礎的な理解が必要です。省エネ法に基づくBEI計算を設計の初期段階から行う機会が増えており、計算ソフトの操作経験が採用時の評価ポイントになっています。建物全体の省エネ性能を設計段階から最適化できる技術者は、クライアントから高い信頼を得られます。

キャリアパスと活躍のフィールド

電気設備設計者のキャリアは主に3つの方向に分かれます。

設計スペシャリストとして深める道では、大型物件や高難度の特殊建築を手がけながら専門性を高め、設計リーダー・チーフエンジニアとして若手を統括する立場になります。省エネ・ZEH・ZEBなどの専門領域に注力する方向もあり、その分野での引き合いが一段と強くなります。

マネジメント方向では、プロジェクトマネジャーや設計部門のマネジャーとして人員配置・品質管理・クライアント対応全体を担います。技術と組織運営の両方を経験したい方に向いており、大手ゼネコンやコンサルタントではこのポジションへの登用を体系化している企業もあります。

発注者支援・独立という道もあります。官公庁や独立行政法人の技術的支援・設計審査を担うポジションは、設計経験が直接活きる場所です。建築設備士や電気主任技術者を持つ技術者が、設計事務所・ゼネコンから業務委託を受ける形で独立するケースも一定数あります。得意分野を絞って特定クライアントと長期の関係を構築することが、独立後の安定につながります。

転職を成功させるポイント

電気設備設計の転職では、図面作成経験の規模感と担当した設備の種類が最初のスクリーニングポイントになります。職務経歴書には「延床面積○○㎡・地上○階建ての○○用途施設の電気設備設計を担当し、実施設計から竣工図まで一貫して担った」というかたちで、具体的な数字と用途を示してください。「設計経験があります」という表現だけでは採用担当者がイメージできません。

BIMスキルは差別化しやすいポイントです。2次元CADだけでなく、BIM設計ソフトで3次元設計ができると伝えれば、BIM移行を進める企業から優先的に検討してもらいやすくなります。省エネ計算の実務経験も同様で、ZEH・ZEB対応案件の設計実績を持つ技術者は即戦力として評価されます。

設計変更対応・発注者との折衝・他設備との調整経験を具体的に語れるかどうかも面接での評価を左右します。技術的なスキルとあわせて、困難な場面でどう判断・行動したかを話せると現場感のある技術者として印象が変わります。現在の求人状況は求人一覧でご確認いただけます。転職活動の方向性で迷う場合は無料キャリア相談をご活用ください。転職成功実績はこちらでも参照できます。

まとめ

電気設備設計は、建設業界のあらゆる建物に必要な専門職で、人手不足を背景に需要が安定しています。省エネ基準の義務化・ZEH・ZEB普及・BIM活用の拡大という3つの変化が設計者への要求を高める一方、その知識を持つ技術者の市場価値は着実に上昇しています。建設投資の拡大(2026年度80兆7,300億円見通し、出典: 建設経済研究所)が続く中、設計経験を積んだ技術者への引き合いは今後も続くとみられます。

建築設備士・電験・技術士といった資格の取得と実務経験の積み重ねがキャリアの幅を確実に広げます。資格取得の優先順位や転職のタイミングは個人の状況によって異なるため、具体的な方向性を整理したい場合は無料キャリア相談をご利用ください。

よくある質問

電気設備設計と電気施工管理の仕事はどう違いますか?

電気設備設計は建物の電気システムを計画・図面に落とす業務で、施工前の上流工程を担います。電気施工管理は設計図をもとに実際の工事を段取り・監督する業務で、現場で進行管理をする立場です。両者はプロジェクトの異なるフェーズを担うため、どちらも現場の知識は必要ですが、日常業務の内容と職場環境はかなり異なります。設計は主に事務所でCAD・計算作業が中心で、施工管理は現場に出る時間が長い傾向があります。

未経験から電気設備設計者になることはできますか?

第二種電気工事士などの基礎資格があれば未経験採用を行う設計事務所や設備会社は存在します。ただし、即戦力を求める求人が多いのも事実で、最初から設計業務に携われる求人は限られます。現実的なルートとして、電気工事の施工管理や設備会社の技術職から経験を積み、設計部門へ異動・転職するケースが多くあります。AutoCADなどの操作スキルをあらかじめ習得しておくと採用選考で差別化になります。

電気設備設計者の将来性はどうでしょうか?

需要は安定しているとみられます。建設投資は2026年度に80兆7,300億円まで拡大する見通しで(出典: 建設経済研究所「建設経済モデルによる建設投資の見通し」2025年10月)、工事量の増加に伴い設計技術者の需要も連動しています。加えて省エネ基準の義務化・ZEH・ZEB普及・BIM化という業界の変化が設計者の専門性への期待を高めており、省エネ計算やBIMスキルを持つ技術者は特に市場価値が上がっています。

転職時に評価されやすい資格はどれですか?

建築設備士は電気・空調・衛生の設備設計全般を担える資格として、設計事務所・建設コンサルタントで高く評価されます。電気主任技術者(電験三種以上)は大型建築の受変電設備設計で特に有効です。技術士(電気電子部門)があると業務委託・独立にも対応できる上位資格として評価されます。資格と合わせて、省エネ計算ソフトの操作経験やBIMツールの実務経験を持っていると、面接での評価が大きく変わります。

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CIW Construction 編集部

執筆者:CIW Construction 編集部

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