再生可能エネルギー発電設備の増加や有資格者の高齢化を背景に、電験三種(第三種電気主任技術者)を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。本記事では2026年最新の試験結果と合格率、科目合格制度を活かした学習の進め方、そして電気主任技術者としてキャリアをどう広げていくかを、建設・不動産・エネルギー業界の転職支援を行うCIWが解説します。
電験三種(第三種電気主任技術者)とは
電験三種は、工場やビル、発電所などに設置された電気設備の保安を担う電気主任技術者の国家資格のうち、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物の保安監督を行える区分です。電気事業法では一定規模以上の電気工作物を持つ事業者に対し、有資格者を保安の監督者として選任することが義務づけられており、選任された主任技術者は点検計画の立案、法定点検の実施、事故発生時の対応、監督官庁への報告書作成などを担います。名前の通り電験一種、電験二種と並ぶ資格ですが、三種は受験資格に制限がなく、実務未経験からでも挑戦できる点が特徴です。
現場では、電気設備は止められない期間が長く続くことも多く、点検スケジュールの調整や現場作業員との連携が欠かせません。試験勉強で学ぶ理論や法規の知識は、実際の保安業務における判断の土台になります。
2026年最新|電験三種の試験結果と合格率
電験三種は年に2回、上期と下期に実施されており、令和7年度の結果は次の通りです。
| 試験区分 | 受験者数 | 4科目合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 上期 | 24,766人 | 3,201人 | 12.9% |
| 令和7年度 下期 | 24,547人 | 4,117人 | 16.8% |
出典: 一般財団法人電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験の試験結果と推移」。合格率は上期12.9%、下期16.8%とおおむね1割台前半から半ばで推移しており、決して易しい試験ではありません。一方で電験三種には科目合格制度があり、理論・電力・機械・法規の4科目のうち一部だけ合格した受験者は、その科目を一定期間免除して再挑戦できます。令和7年度上期は科目合格者が6,859人おり、4科目合格者を除いた科目合格率は27.7%でした。数年がかりで全科目をそろえる受験者が一定数いることが読み取れます。
受験方式も変化しています。令和7年度上期はCBT方式が9,503人、筆記方式が15,263人と、パソコンで受験するCBT方式を選ぶ受験者が着実に増えています。会場や日程の融通が利きやすい点が支持されている理由と考えられます。
電気主任技術者に広がる需給ギャップ
経済産業省の産業構造審議会 電力安全小委員会がまとめた資料によると、対策を講じない場合、第2種・第3種電気主任技術者はそれぞれ2030年度に約1,000人不足し、その後も需給ギャップは拡大していく見通しです。背景には、太陽光をはじめとする再生可能エネルギー発電設備の増加による選任先の増加、有資格者の高齢化、そして新たに資格を取得する若手の減少という三つの要因が重なっています。建設業界全体で見ても就業者の年齢構成は55歳以上が約37%を占めており(総務省「労働力調査」を基に国土交通省が作成した資料による)、電気保安の分野に限らず技術者の世代交代は業界共通の課題です。
仕事内容とキャリアパス
電験三種取得後の代表的な進路は、ビルや工場など自社設備の保安を担う社内の設備管理職と、複数の需要家から委託を受けて巡回点検を行う電気保安法人や専門会社の二つに大きく分かれます。近年は太陽光発電所やメガソーラーの保安管理を専門に扱う求人も増えており、建設現場の電気設備工事から、竣工後の維持管理まで一貫して携われる会社も出てきました。実務では停電を伴う点検の日程調整や、経年劣化した設備の更新提案など、法令知識だけでなく設備全体を見渡す視点が求められます。
キャリアパスとしては、まず主任技術者の補助者として現場経験を積み、選任資格者として独り立ちした後は、複数施設を統括する統括保安管理者や、社内の電気設備部門の責任者へと進む例が一般的です。電験二種、電験一種へのステップアップを目指す人も少なくありません。
有資格者としての市場価値
電験三種そのものの平均年収を示す公的な一次データは現時点で確認できていないため、本記事では具体的な金額を断定的には示しません。参考として、建設業界全体の平均年収は565.3万円(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和6年)となっており、資格や役割によって幅があります。電気主任技術者は選任されることで法的な責任を担う立場になるため、資格手当や役職手当を設けている企業が多く、無資格者と比べて求人票での評価は高くなる傾向にあります。転職を検討する際は、提示年収だけでなく、選任先の数や兼任範囲、緊急対応の頻度なども合わせて確認することをおすすめします。
効率的な学習法とスケジュール
限られた時間で合格を目指すために、次のような進め方が有効です。
- 理論を最初に固める。電力・機械・法規の内容は理論の理解を前提にしている部分が多く、最初につまずくと後の科目にも影響します。
- 科目合格制度を前提に計画を立てる。全科目を一発で狙うより、得意科目から確実に合格を重ねる方が、働きながらの学習では現実的な場合があります。
- 過去問を繰り返す。出題傾向には一定の型があり、演習量が合格率に直結しやすい試験です。
- CBT方式を活用する。会場と日程の選択肢が広がり、仕事の繁忙期を避けて受験しやすくなります。
現場では、日中は業務があり夜間や休日にまとめて学習時間を確保する人が多く見られます。通信講座や動画教材を使って理論の基礎を先に固め、法規は直前期に暗記事項を詰める、という配分が定着しやすい方法です。
ダブルライセンスで広がる選択肢
電験三種は単体でも評価される資格ですが、第一種・第二種電気工事士や施工管理技士など他の資格と組み合わせることで、担える業務の幅がさらに広がります。たとえば電気工事士の資格を併せ持っていれば、保安監督だけでなく設備の改修工事にも直接関われる場面が増え、現場での提案力が高まります。逆に施工管理の実務経験を持つ人が電験三種を取得すれば、設計・施工・保安のいずれの段階でも説明ができる技術者として重宝されやすくなります。取得の順番に決まりはありませんが、今の仕事と関連が深い資格から着手すると、学んだ知識をすぐに実務へ還元しやすいという利点があります。
転職を成功させるポイント
電験三種を活かした転職では、資格の有無だけでなく、これまでどのような設備を扱ってきたかという実務経験が評価されます。工場、ビル、太陽光発電所など、選任先の種類によって求められる知識が異なるため、職務経歴を整理する段階で担当設備の規模や点検範囲を具体的に書き出しておくと、面接での説明がしやすくなります。CIWでは建設・不動産・エネルギー業界に特化したコンサルタントが、非公開求人を含めた選任先の情報や、選任範囲・待遇の相場感を踏まえたご相談に対応しています。まずは無料相談で今の資格・経験がどう評価されるかを確認し、実際の求人情報もあわせてご覧ください。
まとめ
電験三種は合格率1割台前半から半ば程度で推移する簡単ではない資格ですが、科目合格制度をうまく使えば働きながらでも合格を狙えます。再生可能エネルギー設備の増加と有資格者の高齢化により、2030年度には第2種・第3種ともに約1,000人規模の不足が見込まれており、今後も需要が縮む可能性は低いといえます。取得後の進路は保安法人、自社設備管理、太陽光発電所の管理など幅広く、経験を積むことで統括的な立場や上位資格への道も開けます。資格取得や転職のタイミングで悩んだときは、専門のコンサルタントに相談しながら、ご自身の経験がどの選任先で活きるかを整理してみてください。